心理発達コラム
夏休み明けの登校渋り対策!無理のない見守りと周りの頼り方

夏休み終盤、「休み中は元気だったのに急に朝起きられない」「2学期から行けるのか不安」とお困りではありませんか。日中仕事で不在にする罪悪感や、夫婦間の認識のズレに一人で悩むお母さんは少なくありません。本記事では、罪悪感の手放し方や無理のない事前準備、周囲や地域機関への上手な頼り方を解説します。一人で抱え込まず、心のゆとりを持って新学期を迎えましょう。ここケット代表・臨床心理士・公認心理師の大畑が解説します。

1. 夏休み明けの登校渋り(8月下旬・9月1日問題)とは?

1-1. 休み中に元気な子どもが夏休み終盤に不調になる背景
「夏休みの間、家では表情も明るく元気に過ごしていたのに、8月下旬に入ると急に元気がなくなった」というご相談は非常に多く寄せられます。特にフルタイムで働き、日中不在にしているお母さんからは、「日中元気そうだから2学期からは行けるのでは」と期待する反面、「またあの苦しい朝が始まるのではないか」という強いプレッシャーを感じている声が多く聞かれます。
近年は8月最終週から新学期が始まる学校も増えており、不安のピークは8月中旬から前倒しになる傾向があります。子ども自身も理由を明確に言葉にできるわけではなく、「理由はわからないけれど心が重い、体がだるい」と感じています。家で元気に見えるのは、学校という大きなストレス源から離れて安心できる環境でエネルギーを補給できているからであり、怠けや甘えではありません。
1-2. 発達障害や繊細な子どもに見られやすいサイン
特にASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)などの発達障害の傾向があるお子さんや、感覚過敏・繊細な気質(HSC)を持つお子さんは、集団生活や環境の変化に強いストレスを感じやすい特性があります。
夏休み後半に見られやすいサインとしては、「朝起きられなくなる」「頭痛や腹痛を繰り返し訴える」「急にイライラして口数が減る」「夜更かしが酷くなる」といった行動変化が挙げられます。これらは怠けではなく、脳と体が環境の変化に対して警戒信号を出している状態です。SOSを早期に見つけ、無理をさせない関わり方を意識しましょう。
お子さんの年齢に合わせた対応を知りたい方へ
登校渋りの背景や表れ方は、お子さんの年齢や発達段階によっても異なります。年齢別の特徴や家庭での関わり方については、こちらの記事をご覧ください。
・小1・低学年の登校渋り|朝泣く・行きたくない時の原因と親の対応
・小学校中学年の登校渋りにどう対応する?原因と家庭でできる関わり方
・「学校に行きたくない」高学年の行き渋り・不登校|原因と対応策
・中学生の登校渋りに親はどう対応すれば?原因と家庭でできるサポート法
2. 夏休み後半から始めたい3つの事前準備

2-1. 朝起きるモチベーションを高める仕組みづくり
生活リズムを整える際、「早起きさせなければ」と無理に強制すると、かえって家庭内の摩擦を生む原因になります。決まった時間に起きることに対する「ポジティブなきっかけ(動機付け)」を用意するのが効果的です。
例えば、「朝7時〜8時の間は好きなゲームをして良いルールにする」「朝の時間を一緒にラジオ体操する」「子どもが好きなお気に入りの朝食を用意する」といった、楽しみに繋がる仕組みを取り入れてみましょう。「起きなければならない」という義務感から、「起きたら良いことがある」という体験へシフトさせることがスムーズな起床を促します。
2-2. 新学期への不安を「見える化」して整理する方法
子どもが抱く「学校に行きたくない」という曖昧なモヤモヤは、頭の中にとどめておくと際限なく大きく感じられてしまいます。そこで、紙とペンを用意して不安を書き出し、「見える化」する作業が役に立ちます。
「宿題が終わっていないのが気になる」「友達とうまく話せるか不安」「決まった時間に起きられるか心配」など、一つひとつ言語化することで課題が明確になります。「宿題は先生に分割提出の相談をする」「朝の準備は一緒にやる」といった具体的な対策や軽減策を落ち着いて検討できるようになります。
2-3. 学校と事前に共有しておきたいこと
3. 子どもが「学校に行きたくない」と言った時の受け止め方
3-1. 否定せずに受け止める「傾聴」のステップ
子どもから「学校に行きたくない」と打ち明けられたら、まずは途中で言葉を挟まず、気持ちをそのまま受け止めましょう。「そうなんだね、学校に行きたくない気持ちなんだね」と共感的に聴く姿勢を示すことが重要です。
保護者としては焦りから理由を問い詰めたり、「みんな行くんだから頑張ろう」と励ましたくなったりしますが、まずは共感に徹します。「自分の苦しみを分かってもらえた」という安心感(心理的安全性の確保)が得られて初めて、子どもは次のステップや自分の気持ちについて考え始めることができます。
子どもとの距離感に悩んだときは
登校渋りだけでなく、「話しかけても反応が薄い」「最近、反抗的になった」「何を考えているのか分からない」と感じている方は、年齢に応じた親子の距離の取り方も参考にしてみてください。
・「なんでそんな態度…?」に悩むあなたへ|小学校中学年〜高学年の親子関係ヒント集
・思春期は五里霧中?中高生の親子関係を再構築するためのヒント
3-2. 登校渋りのときに避けたいNG対応
避けたい対応の筆頭は、「行かないと後で困るよ」といった正論での追い詰めや無理な登校刺激です。強く登校を促し続けると、無理を重ねて体調を崩したり、家庭に閉じこもりがちになったりすることがあります。
また、「行ったら◯◯を買ってあげる」という過度な物によるコントロールも、根本的な不安の解消にはつながらず持続性がありません。必要なのは登校を強いることではなく、不安の背景に寄り添う姿勢です。
目次に戻る。
4. 不登校・登校渋りを未然に防ぐ応用・予防アプローチ

4-1. 母親だけで抱え込まない周囲や地域支援の頼り方
登校渋りへの対応は、どうしてもお母さん一人に負担や焦りが集中しがちです。しかし、家庭内だけで全てを解決しようとする必要はありません。職場も含めて上手く周りに頼り、外部のサポートを積極的に活用することが大切です。
例えば、地域の「ファミリーサポートセンター」や「放課後等デイサービス」「子育て世代包括支援センター」などの公的・地域インフラを利用してみましょう。日中の見守りや送迎、一時預かりなどをプロに委託することで、仕事との両立による疲弊を防ぐことができます。また、職場に対しても「新学期前後は短時間勤務やリモートワークを活用する」など、事前に行政や職場の制度をリサーチし、SOSを出せる環境を整えておくことが親自身の心の支えになります。
家庭内でも、登校させるか休ませるかについて、保護者同士の考えが分かれることがあります。どちらが正しいかを決めようとするよりも、まずはお子さんの現在の状態や、家庭で困っていることを共有しましょう。朝の対応や学校への連絡、日中の見守りなどを一人に集中させず、できる範囲で役割を分担することも大切です。
4-2. 罪悪感を減らし、親の負担を軽減する日常の工夫と関わり方
フルタイムで働き日中家にいられないことに対して、「一緒にいてあげられないから登校渋りになるのでは」と罪悪感を持つ必要はありません。大切なのは時間の長さではなく、顔を合わせたときの関わりの質です。
例えば、平日の夕食をたまには外食にしてお互い気分転換をしたり、週末に一緒に料理をして「冷凍の作り置き」を作ったりする工夫がおすすめです。また、夏休みの宿題は管理・指導する立場ではなく、「親も隣で自分の仕事や読書をしながら一緒の時間に行う」というスタンスをとることで、お母さん自身の負担感や焦燥感を大きく減らすことができます。
目次に戻る。
5. それでも登校が難しい場合の対処法と落とし穴
5-1. 家以外の「第3の居場所」や専門機関を頼るヒント
どれだけ事前の準備や配慮を行っても登校が難しい場合は、「学校に通うこと」だけを唯一のゴールにしない選択肢を持ちましょう。
自治体が運営する教育支援センター(適応指導教室)やフリースクールなど、学校以外の安心して過ごせる居場所は存在します。また、発達の特性や強い心の不調が疑われる場合は、スクールカウンセラーや児童精神科、各種相談窓口などの専門機関へ早めに相談し、外部のサポートラインを構築することをお勧めします。
学校や病院以外の相談先を知りたい方へ
学校や病院へ相談することに迷いがある場合は、状況を整理するために民間の相談機関を利用する方法もあります。急いで転校やフリースクールを決める前に、どのような選択肢があるのか知りたい方はこちらをご覧ください。
5-2. 親自身が完璧主義に陥り疲弊する落とし穴を回避する
登校渋りへの対応で最も危険な落とし穴は、保護者(特にお母さん)が「自分の関わり方や仕事のせいだ」と自分を責め、孤立してしまうことです。親の強い焦りや疲労感は子どもにも伝わり、さらに不安を増幅させてしまいます。
「学校に行くことだけが人生の正解ではない」という柔軟な視点を持ち、親自身が息抜きの時間を作ったり、周囲の助けを借りたりして心のゆとりを維持することが、結果として子どもを最も力強く支える土台となります。
目次に戻る
子育ての正解探しに疲れてしまったら
「これで合っているのかな」「自分の対応が悪かったのかな」と、自分を責めてしまうこともあると思います。子育てには、いつも一つの正解があるわけではありません。少し肩の力を抜きたいときは、こちらのコラムも読んでみてください。
親子で気持ちを話すきっかけに
「何が嫌なの?」「どうして行きたくないの?」と聞かれても、子ども自身がうまく説明できないことがあります。
そんなときは、言葉だけで聞き出そうとせず、カードやイラストを見ながら、今の気持ちに近いものを選んでもらう方法もあります。
「こころトランプ」は、親子が遊びながら気持ちを伝え合うために、臨床心理士・公認心理師が制作したカードです。登校を説得するためではなく、まずはお子さんの気持ちを知るきっかけとしてお使いいただけます。
6 まとめ:一人で抱え込まず、焦らず新学期を迎えよう
夏休み明けの登校渋りや不調に対しては、お母さん一人で抱え込まず、周囲のサポートや地域資源を活用しながら負担を軽減していくことが可能です。
-
夏休み後半: 朝起きるモチベーションづくりや、不安の「見える化」を行う
-
子どもの訴え: 否定せずに傾聴し、正論での追い詰めや無理な登校刺激は避ける
-
周りを頼る: ファミリーサポートや地域機関、職場の制度を活用し孤立を防ぐ
-
日常の工夫: 日中不在の罪悪感を手放し、外食や作り置き、宿題の「一緒に行う」感覚で負担を減らす
日々の関わりで重要なのは完璧を目指すことではなく、保護者自身が心のゆとりを保つことです。焦らず一歩ずつ、お子さんとご家庭のペースに合わせたサポートを続けていきましょう。
目次に戻る。
👉あわせて読みたい
子育ての正解探しに疲れてしまったら
登校渋りが続くと、親御さんも「これで合っているのかな」「自分の対応が悪いのかな」と不安になることがあります。
子育てには、いつも正解があるわけではありません。少し肩の力を抜きたいときは、こちらのコラムも読んでみてください。
👉あわせて読みたい
子育ての正解探しに疲れてしまったら
登校渋りが続くと、親御さんも「これで合っているのかな」「自分の対応が悪いのかな」と不安になることがあります。
子育てには、いつも正解があるわけではありません。少し肩の力を抜きたいときは、こちらのコラムも読んでみてください。
このほかにも、不登校・発達・親子関係などについて解説しています。
「新学期を前に、子どもの登校渋りや仕事との両立に一人で悩んでいる…」という方へ
「登校を促してよいのか分からない」
「学校とどう話し合えばよいのだろう」
「仕事を休み続けることが難しい」
ここケットでは、ご家庭の状況やお子さんの発達特性、学校との関係を整理しながら、今できる無理のない対応を一緒に考えます。
まず保護者の方だけでもご相談いただけます。大阪の相談室への来室だけでなく、オンライン相談にも対応しています。

筆者:子どもの心と発達の相談ルーム「ここケット」代表:大畑豊(臨床心理士・公認心理師)
スクールカウンセラー・保育園・大学講師などもしています。






