心理発達コラム

小1・低学年の登校渋り|朝泣く・行きたくない時の原因と親の対応

登校前の玄関で不安そうな小学校低学年の子どもに母親が寄り添っているイラスト

幼稚園や保育園では楽しく過ごしていたのに、小学校に入ってから、朝になると「行きたくない」と泣くようになった。特にGW明けから登校渋りが強くなり、仕事の時間も迫る中で、どう声をかければいいのか悩んでいませんか。小学校低学年の登校渋りは、甘えや育て方の問題ではなく、環境の変化や疲れ、不安が重なって起こることがあります。この記事では、低学年の子に起こりやすい背景と、家庭での関わり方を臨床心理士の視点から解説します。

 目次

1 小学校低学年の登校渋りとは?GW明けに増えやすい理由

・1-1 幼稚園・保育園では順調だった子が、小学校でつまずく背景

・1-2 4月に頑張った疲れが、GW明けの「安心感」をきっかけに出ることも

2 低学年の子どもが見せる登校渋りのサイン

・2-1 朝になると腹痛・頭痛・涙が出る「身体のSOS」

・2-2 「ママ・パパと一緒にいたい」と愛着を再確認したがる心理

・2-3 学校に行けば過ごせるのに、朝だけ強く嫌がる時の捉え方

3 原因はひとつではない:低学年の登校渋りで考えたい背景

・3-1 分離不安や新しい環境への戸惑い

・3-2 集団生活・授業・給食・音などの刺激による疲れ

・3-3 発達特性や感覚過敏が関係している可能性

4 親はどう関わる?朝の対応で大切にしたいこと

・4-1 まずは「行きたくない気持ち」を否定せずに受け止める

・4-2 学校に行きにくくても、家庭での生活リズムは崩さない

・4-3 校門まで、1時間目だけなどスモールステップを使う

5 共働き家庭で、仕事を休めないときの考え方

・5-1 朝の対応を親だけで抱え込まず、外部サポートも活用する

・5-2 ずっと登校することを目標にせず「まずは1週間」と刻んでみる

・5-3 「少し行けるようになった時」こそ、焦らず時間をかける

6 登校渋り(行き渋り)と向き合う親の工夫

・6-1 保護者自身のメンタルヘルスと安心感の確保
・6-2 子どもの自己肯定感を育む接し方と生活の整え方

まとめ

1. 小学校低学年の登校渋りとは?GW明けに増えやすい理由

「昨日までは元気だったのに……」と戸惑う親御さんは多いですが、低学年の登校渋りは決して珍しいことではありません。

1-1 幼稚園・保育園では順調だった子が、小学校でつまずく背景

幼稚園や保育園でリーダーシップを発揮していた子や、手がかからなかった子でも、小学校という新しい環境は大きなストレスになります。遊び中心から学習中心へ、自由な時間から規律ある時間への変化は、私たちが想像する以上にエネルギーを消耗します。特に「小1の壁」と呼ばれる生活リズムの変化や、共働き家庭において学童で過ごす時間の長さが、目に見えない疲れとして出てくることもあります。

1-2 4月に頑張った疲れが、GW明けの「安心感」をきっかけに出ることも

4月中は緊張感で乗り切れても、GWという長期連休で一度「家庭の安心感」に浸ることで、蓄積されていた疲れがどっと溢れ出します。これは愛情不足ではありません。家庭が安心できる場所だからこそ、再び「緊張の場(学校)」という外の世界へ戻る時に、不安が強く出ることもあります。大人でいう「5月病」のような状態が、低学年のお子さんにも起こっているのです。

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2. 低学年の子どもが見せる登校渋りのサイン

子どもは自分の不安を言葉にするのがまだ得意ではありません。そのため、心の問題は「態度」や「体」に現れます。

2-1 朝になると腹痛・頭痛・涙が出る「身体のSOS」

登校前になるとお腹を痛がったり、涙が止まらなくなったりするのは、仮病ではありません。言葉にできない強いストレスが自律神経に影響し、実際に痛みを感じています。まずは「痛いんだね、しんどいんだね」と、その感覚を否定せず受け止めてあげることが、子どもの孤立感を防ぐ第一歩です。

2-2 「ママ・パパと一緒にいたい」と愛着を再確認したがる心理

学校という外の世界で過ごすためには、家での「心の充電」が欠かせません。特に低学年の時期は、分離不安のような反応が背景にあることもあります。これは甘えではなく、成長の過程で改めて親子の絆を確かめ、外へ踏み出すためのエネルギーを蓄えようとしている大切なサインです。

2-3 学校に行けば過ごせるのに、朝だけ強く嫌がる時の捉え方

「学校に着けば楽しそうにしている」と先生から聞くと、親としては「わがままなの?」と思ってしまいがちです。しかし、朝の涙は「学校が嫌い」というより、家庭モードから学校モードへの切り替えの負担が大きいサインとして見ていくと、対応を考えやすくなります。その背景には、学校で過ごすために大きなエネルギーを使っていることがあるのかもしれません。

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3. 原因はひとつではない:低学年の登校渋りで考えたい背景

小学校低学年の登校渋りの背景として環境の変化や疲れ、学校の刺激など複数の要因を示した図

登校渋りの原因をひとつに決めつける必要はありません。複数の要因が重なっていることが多いからです。

3-1 分離不安や新しい環境への戸惑い

親から離れて長時間過ごすことへの不安は、低学年では自然な反応です。また、時間割に沿った行動や、休み時間の過ごし方、トイレのルールなど、些細な変化が不安の種になることもあります。

3-2 集団生活・授業・給食・音などの刺激による疲れ

教室のざわめき、慣れない給食のルール、一斉指示を聞き続ける緊張感。敏感なタイプのお子さんにとって、学校は「刺激が多すぎる場所」かもしれません。1日を過ごすだけで疲れ果ててしまう子もいます。

3-3 発達特性や感覚過敏が関係している可能性

もし、特定の教科だけを強く嫌がる、あるいは極端に疲れやすい場合は、発達特性や感覚過敏が関係していることもあります。臨床心理士などの専門家に相談し、状況を整理することで、お子さんに合った環境調整や学校への具体的な配慮の依頼が見えてきます。

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4. 親はどう関わる?朝の対応で大切にしたいこと

登校渋りへの親の対応として、気持ちを受け止める、生活リズムを整える、スモールステップで進める流れを示した図

「朝泣く」「玄関で動けない」「ランドセルを背負うと固まる」といった様子が続く場合は、叱って動かすよりも、何が負担になっているかを一緒に整理していくことが大切です。

4-1 まずは「行きたくない気持ち」を否定せずに受け止める

「そんなこと言わないの!」「みんな行ってるよ」と言いたくなる気持ちを、一度だけ深呼吸して抑えてみてください。「学校に行きたくないんだね」と言葉にしてあげるだけで、子どもは「わかってもらえた」という安心感を得て、少しだけ落ち着きを取り戻すことがあります。

4-2 学校に行きにくくても、家庭での生活リズムは崩さない

もし欠席することになっても、平日の日中と同じようなタイムスケジュールで過ごすよう意識しましょう。起床時間を固定し、ゲームや動画だけで一日が終わらないよう、短い学習時間や外に出る時間を少し入れるなど、リズムを保つことが再登校へのハードルを下げてくれます。

4-3 校門まで、1時間目だけなどスモールステップを使う

「校門まで先生に会いに行こう」「1時間目だけ頑張って、無理ならお迎えに行くよ」というスモールステップが有効です。また、担任の先生や保健室の先生に一言あいさつする、シールやスタンプなど小さな達成の印を用意してもらうなど、「ちょっと見てもらえている感」を作ってあげるのも通いやすくなる一案です。

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5. 共働き家庭で、仕事を休めないときの考え方

登校渋りを親だけで抱え込まず学校や保健室、学童、家族、地域サポートと連携して支える図

朝の1分1秒が惜しい共働きの親御さんにとって、登校渋りは焦燥感の源です。だからこそ、一人で背負わない仕組みを作りましょう。

5-1 朝の対応を親だけで抱え込まず、外部サポートも活用する

どうしても仕事が休めない時は、ファミリーサポートセンターや地域のサービス、頼れる親族との役割分担を検討してください。「親がすべて見なければいけない」と抱え込みすぎず、かといって無理に突き放しすぎないバランスをチームで保つことが大切です。

5-2 ずっと登校することを目標にせず「まずは1週間」と刻んでみる

「明日からずっと行き続けてほしい」と願うと、一度のつまずきで親も絶望してしまいます。まずは「今週の1週間、1時間目まで行けたらOK」といった短い期間の目標を立てるなど、長いスパンで構えることで親子の心が楽になります。

5-3 「少し行けるようになった時」こそ、焦らず時間をかける

少しずつ登校できる日が増えてくると、つい「じゃあ明日からは一人で大丈夫ね!」と言いたくなりますが、ここは要注意です。急な期待は子どもに大きなプレッシャーを与えます。本人が自分の意志で動くようになるまで、焦らず時間をかけて見守ってあげましょう。

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親子で気持ちを話すきっかけに
低学年の子どもは、「何が嫌なのか」「どんな気持ちなのか」を言葉だけで説明するのが難しいことがあります。カードやイラストを使って「今の気持ち」を選んでもらうと、親子で話すきっかけを作りやすくなります。
[親子で気持ちを話すきっかけに:こころトランプを見る]

6. 登校渋りと向き合う親の工夫:安心感と自己肯定感を育てるために

子どもが登校を渋る姿を見ると、親としても焦ったり、自分を責めたりしてしまうことがあります。
しかし、親が少しでも落ち着いて関われることは、子どもにとって大きな安心材料になります。

登校渋りへの対応では、「学校に行けるかどうか」だけでなく、家庭の中で安心感を保ち、子どもの自己肯定感を支えていくことも大切です。

6-1. 保護者自身のメンタルヘルスと安心感の確保

まじめで責任感の強い保護者ほど、「自分の対応が悪かったのかも」「もっと早く気づいてあげればよかった」と悩みがちです。

けれども、登校渋りは親の育て方だけで起こるものではありません。環境の変化、学校での疲れ、不安、発達特性、親子関係など、いくつもの要因が重なって起こることがあります。

保護者自身が少しでも安心できるように、次のような工夫を意識してみてください。

  • 「登校できない=悪いこと」と決めつけず、「今はそういう時期かもしれない」と受け止める
  • 心配や戸惑いを、家族・友人・学校・支援機関に話して共有する
  • 無理に登校させるか、完全に休ませるかの二択にせず、子どものペースに合わせた方法を考える

親がひとりで抱え込まないことは、子どもを支える力にもなります。

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子育ての正解探しに疲れてしまったら

登校渋りが続くと、親御さんも「これで合っているのかな」「自分の対応が悪いのかな」と不安になることがあります。

子育てには、いつも正解があるわけではありません。少し肩の力を抜きたいときは、こちらのコラムも読んでみてください。


いっしょに歩こう 少しのこころのささえ

6-2 子どもの自己肯定感を育む接し方と生活の整え方

登校できても、できなくても、わが子が大切な存在であることに変わりはありません。

そのメッセージが日々の関わりの中で伝わることは、子どもの自己肯定感の土台になります。特別なことをしなくても、日常の小さな関わりが安心感につながります。

  • 「おはよう」「おやすみ」など、日常の声かけを丁寧にする
  • ハグ、手をつなぐ、目を見て話すなど、安心できる関わりを意識する
  • 決まった時間に起きる・寝る、少し体を動かすなど、生活のリズムを整える
  • 「今日の楽しかったこと」「少しできたこと」を一緒に振り返る時間をつくる

学校に行けた日だけを評価するのではなく、家で落ち着いて過ごせたこと、気持ちを話せたこと、朝起きられたことなども、大切な一歩として見ていきましょう。

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まとめ

小学校低学年の登校渋りは、原因をひとつに決めつけるよりも、お子さんの不安、疲れ、学校環境、発達特性、家庭での様子を丁寧に整理して考えることが大切です。今の葛藤はつらいものですが、丁寧に向き合うことで、親子で安心の作り方を見直すきっかけになることもあります。親御さんは決して自分を責めないでください。今のこの時間は、お子さんが新しい世界へ適応するための大切な準備期間です。一人で抱えきれないと感じたら、ぜひ専門家の手を借りてください。

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👉あわせて読みたい

お子さんの年齢や状況によって、登校渋りの背景や関わり方は少しずつ変わります。

気になるテーマがあれば、こちらの記事も参考にしてみてください。


・小学校中学年の登校渋りにどう対応する?

・「学校に行きたくない」高学年の行き渋り・不登校。原因と対応策

・不登校への対応方法や目標設定はどうすればいい?

・塾でもない学校でもない 程よい距離感の場所に

登校渋りが続くときは、一人で抱え込まないでください

ここケットでは、臨床心理士・公認心理師が、保護者の方のお話をうかがいながら、お子さんに合った関わり方を一緒に考えます。

 

筆者:子どもの心と発達の相談ルーム「ここケット」代表:大畑豊(臨床心理士・公認心理師)

スクールカウンセラー・保育園・大学講師などもしています。

  


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