心理発達コラム

小学校低学年の登校渋り(行き渋り)とは?原因・対応・改善策を徹底解説

入学直後や進級後、新しい環境に戸惑いを見せる小学校低学年の子ども。朝になると泣き出したり、教室前で固まったりと“登校渋り(行き渋り)”のサインが現れます。本記事では、低学年ならではの登校渋りの特徴とその原因、さらに家庭で実践できる具体的な対応策を段階的にご紹介します。

1. 登校渋り(行き渋り)の定義とよくあるケース

2. 登校渋り(行き渋り)が増える時期と特徴

3. 主な原因と家庭での対応策

4. 登校渋り改善事例

5. 深刻化前にできる早期対応

6. 登校渋りと向き合う親の工夫

1. 登校渋り(行き渋り)の定義とよくあるケース

まずは“行き渋り”の意味と、低学年で多く見られる代表的なケースを確認します。

1-1. 行き渋りの定義

子どもが日常生活では大きな問題はないのにも関わらず、強い拒否や不安や身体的な理由で学校へ向かうことをためらう状態を指します。

1-2. よくあるケース

• 朝、泣きながら登校を嫌がる:親から離れることへの不安感

• 門や教室前で立ち止まる:新しい環境に緊張して動けない

•「お腹痛い」「幼稚園に戻りたい」と訴える:体調不良や前の環境がよかったなどの学校に行きたくない理由を伝えてくる。

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2. 登校渋り(行き渋り)が増える時期と特徴

低学年特有の登校渋りが増加しやすいタイミングと、その背景にある心理的特徴をまとめます。

2-1. 入学直後・進級後

初登校やクラス替え後は、新しいクラスメートや担任教師との関係づくりに戸惑い、分離不安が顕著になりやすい時期です。子どもは環境変化によって緊張感が高まり、登校前に不安のサインを示すことがあります。

2-2. 授業形態の変化

集団活動や給食など、新しい生活リズムへの対応が難しいと感じる子が増えます。日々のスケジュールに急な変更が入ることで、準備不足や緊張感から登校をためらう要因となります。

2-3. 長期休み明け

休み中のリラックス状態から学校モードへ切り替えるストレスで登校渋りが起こりやすいです。親元で安心して過ごした時間が長かった分、学校生活の緊張や不安が再燃しやすくなります。

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3. 主な原因と家庭での対応策

低学年の登校渋りは複数の要因が絡み合うことが多いため、原因ごとに分けて対策を解説します。

3-1. 分離不安

原因:家族と離れることへの強い不安や恐怖感

対応策:

• 分離不安は、無理に離そうとすると余計に離れにくくなります。付き添い登校などをしながら時間をかけましょう。

• 学校でがんばったら、~が待ってるよなどのご褒美のシールなどを作ってみましょう。

3-2. 学校生活への不慣れ

原因:トイレや給食といった自立的行動への自信不足や体験不足

対応策:

• 学校で不安になるようなトイレや給食は家で練習しましょう。

• 困ったら先生に言う、保健室に行くなど、ヘルプのサインを決めておきましょう。

3-3. 友だち関係の不安

原因:友だちづくりのスキルが未発達、未経験

対応策:

• 最初は先生の近くにずっといても大丈夫だよと伝えておきましょう。

• みんなが遊ぶような鬼ごっこやドッチボールの練習を家でやってみましょう。

3-4. 教師との距離感

原因:友だちづくりのスキルが未発達、未経験

対応策:

• 最初は先生の近くにずっといても大丈夫だよと伝えておきましょう。

• みんなが遊ぶような鬼ごっこやドッチボールの練習を家でやってみましょう。

3-5. 自己肯定感の低さ

原因:新しい環境で「できない」体験が続き、がんばりたい気持ちが薄い。

対応策:

• 連絡帳などに今日頑張ったことを書いてもらいましょう。

• 無理のない範囲で苦手なことを家庭でいっしょに練習してみましょう。

• 好きなこと、得意なことで活躍できる時間や場所を作ってもらいましょう。

3-6. 複合型要因

原因:分離不安+自己肯定感の低さなどが重なりあって一概に原因が一つでない場合

対応策:

• 「がんばったね」「よかったね」「ありがとう」などのポジティブな言葉がけを意識していきましょう。ついつい悪い指摘が多くなっていたりします。

• 担任とも連携しながら、学校のスクールカウンセラーや子育て支援センターや教育センターなどの相談機関も利用してみましょう。

3-7. 家庭環境の影響

原因:保護者自身の不安やきょうだいの影響。

対応策:

• 保護者自身の心身のことでご心配な場合は、専門機関に相談しましょう。へルーパー制度など福祉的な支援を受けることができる場合もあります。

• 兄弟姉妹の影響で、バランスが崩れることもありますが、まずは、バランスの見直しをしましょう。また、様々な支援機関もあります。一人でがんばらず、そういったところも利用しましましょう。

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4. 登校渋り改善事例

以下はイメージしやすいように作成した架空の事例です。登校渋り(行き渋り)の状況と対応例を考えていきましょう。

ケース1:入学直後の分離不安克服

学校に入学式以来、登校することを嫌がるようになったAちゃんは、しばらくお母さんといっしょに登校するようにしました。学校に行くと、担任の先生や保健室の先生が笑顔で出迎えてくれるようになり、休み時間なども先生といっしょに過ごしながら、友達と遊びるようになり、しばらくすると友だちと登校することができた。

ケース2:複合的な要因(教師との距離感・友達関係の不安)

2年生になり新しい担任とクラスになったB君。初めての男性の先生で怖がってしまう。また、一番、仲の良い友達も別クラスになったために、登校渋り(行き渋り)が増えるようになる。去年の担任の先生から今の先生のおすすめポイントを教えてもらったり、担任の先生に自分の好きな話をする中で、先生との関係もできる。クラスも1年の時に比較的仲いい子たちの席にしてもらい少しずつ登校できるようになった。

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5. 深刻化前にできる早期対応

様子を見守ることも大事な場合もありますが、早期に対応していくためのサインとポイントをお伝えします。

5-1. 早期サインと対応ポイント

• サイン:登校前の涙、夜泣き、ぐずりなど、ゲームなどをして寝たがらない。

• 対応:小さなサインを見逃さず、声かけやスキンシップを増やす、また、家庭でのルールも崩さないようにする。

• 学校の先生と連絡・共有をする。

5-2. 学校・専門機関との連携

1. 連絡帳活用:毎朝夕で状況を担任と共有する

2. スクールカウンセラー相談:早期に専門家のアドバイスを得る

3. 子育て支援センター・教育センターなどの利用:地域の支援サービスを活用する

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6. 登校渋りと向き合う親の工夫

登校渋り(行き渋り)は、どんなお子さんにも起きる成長過程のようなものでもあります。急がず無理せず確実にかかわっていきましょう。

6-1. 保護者のメンタルヘルス・自己肯定感を大切に

• 早期対応は理想ですが、安心して学校に過ごせない中で無理に登校させても、状況は悪化する場合があります。学校との連携を大事にしましょう。

• まじめでしっかりとした保護者であればあるほど、自体に問題があるのかなと自分のことをせめてしまいます。まずは、親の安定が大事ですので、成長の過程と思うようにしていきましょう。

• 一人で抱え込まないようにしましょう。家族やママ友や会社の同僚など、話せる人には話してきましょう。

6-2. 子ども自身を尊重し、自己肯定感を大切に生活のリズムも整えましょう。

• 学校に行ってもいかなくも大切なかわいいわが子です。ギュッと抱きしめてあげたり、話しかけたりしてあげましょう。

• 生活のリズムを崩さず、体も少し動かしておきましょう。何かあった時に動きやすくなります。

• 普段の「おはよう」「おやすみ」などの言葉がけも大切な愛情表現です。また、そこからも小さなサインに気づくこともあります。焦らずに、大切な時間を過ごしてきましょう。

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筆者:子どもの心と発達の相談ルーム「ここケット」代表:大畑豊(臨床心理士・公認心理師)

スクールカウンセラー・保育園・大学講師などもしています。

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