心理発達コラム

高校生のソーシャルスキルトレーニング:親が知るべき4つの視点

高校生は、学校や日常生活の中で様々な人間関係を築く大切な時期です。しかし、ソーシャルスキル(対人スキル)に不安を感じる子どもも少なくありません。ソーシャルスキルトレーニングは、人とのコミュニケーションや協力のスキルを育むための方法で、特に人間関係に悩む高校生に有効です。一般的には小学校や中学校から実施されることが多いですが、高校生だからこそ自分に気づくチャンスでもあります。本記事では、「高校生のソーシャルスキルトレーニング」について、親ができるサポートや実践的な方法を4つの視点から解説します。


目次
1. 高校生に必要なソーシャルスキルとは  
2. 家庭における「高校生のソーシャルスキルトレーニング」  
3. 学校で学べるソーシャルスキルトレーニングとは?  
4. 専門家や学校との連携で支援する方法  

1. 高校生に必要なソーシャルスキルとは 

1-1 高校生のソーシャルスキルトレーニングの重要性

高校生は、学業だけでなく人間関係のスキルも大切な時期です。
友達との付き合い方、先生とのやり取り、家族との会話など、
日常生活の中でソーシャルスキルは重要な役割を果たします。
このスキルが上手に身についていると、コミュニケーションがスムーズになり、学校生活も楽しくなります。
しかし、対人関係が苦手な子どもも多く、その結果、孤立感やストレスを感じることがあります。
そんなとき、ソーシャルスキルトレーニングは非常に有効です。
このトレーニングを通じて、子どもたちは他者との関係をより良く築くための方法を学びます。
中学生までにも学ぶチャンスはあったかもしれませんが、
なんとなく上手くいってきたことも新しい環境になるとできなくなったりします。
そういった「つまずき」や「困り感」があって初めて、自身の成長のチャンスでもあります。
それは親としても成長のチャンスでもあります。
後は、本人の問題だから自分でがんばりなさいと思うだけでなく、親子で一緒に学んで考えて成長できるチャンスと
捉えていきたいですね。

1-2 人間関係を円滑にする基本的なスキル

ソーシャルスキルトレーニングで学べる基本的なスキルには、いくつかのポイントがあります。
その一つは、相手の話をしっかりと聞く「傾聴のスキル」が重要です。
これによって相手に安心感を与え、良い関係を築く土台が作られます。
まず、そのだ一歩の目標として「まずは、最後まで人の話を聴く」
そして、相手の顔を見たりうなずいたりできるようになる。
このあたりが、当面の目標になります。
相手の目を見るのは、見る方も見られる方も負担に感じる人がいます。
なんとなく顔あたりを見ているだけでも、双方、話しやすかったりします。
また、話の途中で、スマホを触ったり、何か目についたものに手が伸びていませんか?
そのあたりも意識していくところから始めてみましょう。

その他にもたくさんありますが、
まずは、話している相手に対して、あなたに興味がありますし、仲良くしましょうね。
といったようなメッセージを伝えるための作法として、
「傾聴のスキル」の基本を学ぶようにしていきましょう。

2. 家庭における「高校生のソーシャルスキルトレーニング」  

2-1 家庭において友達とのコミュニケーションを促す方法

高校生が友達とのコミュニケーションをうまく取れるようになるためには、親のサポートも大切です。
思春期以降は、親子の会話が減っていき、また、体も大きくなるので大人になったように見えます。
しかし、まだまだ、子どもとしての未熟な部分や親に対しての褒めてもらったり甘えたりしたい気持ちもあります。
そのために、話ができる機会やいっしょに過ごす時間もとても大切になります。
その中で、家での会話を増やすことができれば、スキルを伸ばすきっかりにもなります。
会話の中で子どもが友達との出来事を話すことができれば、自然と対人スキルが育っていきます。
「ここは分からかったから、もうちょっと教えて」
「ここはこう話した方が分かりやすいかも」
「それはすごく分かりやすいわ」などなどです。
しかし、それが過度だと話ずらくなります。
会話はキャッチボールといいますが、
ボールを投げるたびに、フォームの修正を求めると、
キャッチボールする気がなくなってしまいます。
まずは、キャッチボールの相手ができるようになっていきましょう。

2-2 家庭できるソーシャルスキルトレーニングとは?

「学校には友だちがいないけれど、ネット上にはたくさんいる」
「親友はネットでいるから、今いる学校ではいらない」
と考えている子どももたくさんいます。
事実、そういった出会いの場所になり、自分の趣味や考え方、家庭環境など、
周りの人とは分かり合えない人とつながる貴重な場面でもあります。
一方、昨今は、SNS関係の文字だけのやりとりや、
配信関係の一方的な発言など、
大人でも分からないような、複雑な問題がたくさんあります。
また、ネット上で金銭関係のトラブルや法律に触れるような問題に直面することもあります。
それらを高校生だけで解決するには相当な負荷がかかります。
何かあれば、親に相談できるような関係性を築くことが大切です。
そのためにも、上から目線や監視の目だけを注ぐのではなく、
普段から、親子でいっしょに考えながら試行錯誤していけるようになりましょう。
その中で、やり取りのずれや言葉の重要性を少しずつ意識できるようなると
大きな成長になっていきます。
そこで大切なのは、親が子どもを見守り、過度に干渉しないことです。
歯がゆいし心配なのは重々承知なんですが、
子どもが自分のペースでコミュニケーションを学べる環境を整えてあげることが、
高校生のソーシャルスキルトレーニングをサポートする上での大きなポイントになります。

3. 学校で学べるソーシャルスキルトレーニングとは?

3-1 学校で無理なくソーシャルスキルトレーニングができるには?

学校の中で、ソーシャルスキルトレーニングのプログラムを実施しているところはごくわずかです。
改めてプログラムとして学ぶだけでなく、日常生活の中で学べるべきところはたくさんあります。
クラスの中でも学べますが、人数が多いので集団の適切な動きが学びにくく、
目立たない方法論を学ぶだけになってしまいます。
また、特定の仲間ができると、なかなかその関係が崩れないので、
狭い人間関係の維持にエネルギーを費やしてしまいます。

そうならないために、クラブなどの共通の目的や趣味を持つ集団の中で学ぶことも大事です。
また、コミュニケーションスキルが苦手なお子さんほど、そういう集団に入ってしまった方が、
一定の人数の中で学ぶことも多くなります。
クラブに所属しないお子さんが増えていますが、ぜひ、なんらかのクラブ活動に参加してもらいです。
クラブが難しければ、アルバイトやボランティア団体、地域のコミュニティ活動などもいいと思います。
人と関わり、その関わりをサポートしてくれる大人がいる場所がとても大切になります。
そういった場所を意識して確保することが、まず第一歩です。
そういった場所に所属できない場合は、カウンセラーなどの専門家に相談しながら、
個別やグループでソーシャルスキルトレーニングをしている場所にいってみるのもいいかもしれませんね。

3-2 スキルトレーニングでの自己肯定感の向上

ソーシャルスキルトレーニングは、対人関係を良くするだけでなく、自己肯定感を高める効果もあります。
コミュニケーションがうまく取れるようになると、自分に自信を持つことができるようになり、
「自分は人ともうまくやっていける」という感覚が芽生えます。
特に、対人関係に不安を感じている高校生にとって、少しずつスキルを習得していくことで、
成功体験が積み重なり、自信を持てるようになります。
また、学校やクラブに所属することができることで、
「自分はここにいていいんだ」
「ここでは重要な役割をもっている」
「ここでは自分を受けれてもらっている」
といった実感を持つことができます。
親も教師も、しっかりと褒めてあげることが大切です。
褒めることで、子どもは「もっと頑張ってみよう」と思えるようになります。
自己肯定感が高まると、学校生活も前向きに取り組めるようになり、
将来に対してもポジティブな姿勢で挑戦していけるようになります。

4.専門家につなぎ、次への支援につなげる方法

4-1 学校での支援の可能性と限界

多くの学校では、特別支援教育のシステムの中で、個別の教育支援計画が作成され、個別の指導計画が教科ごとに作成されていきます。その中で、ソーシャルスキルについても必要であれば、取り組んでいる場合もあります。
親や子どもがそれらを必要と感じた場合は、まず学校と話し合ってどういったことができるか聞いてみましょう。
また、担任の先生やスクールカウンセラーと連携を取って今の課題を確認していきましょう。
しかし、望んだようなサポートが受けられないのも現実ではあります。
そういった場合は、外部の専門家も交えながら、学校でできること、家庭でてきること、それ以外でできることを
模索していく必要があります。
無理のない範囲で社会との接点が切れないようにしていきましょう。
そして、次の進路に向かう時は、個別の教育支援計画が引き継がれるように学校側には要請しておくようにしましょう。

4-2 専門家のアドバイスを受けるタイミング

もし親が子どもの対人スキルに不安を感じたり、学校での人間関係に困難を抱えていると感じた場合、
専門家の力を借りるのも一つの手です。
ソーシャルスキルトレーニングを専門に行っているカウンセラーや臨床心理士、公認心理師に相談することで、
子どもに合った具体的なアドバイスが得られます。
専門家のアドバイスを受けるタイミングは、子どもが対人関係で大きなストレスを感じている時や、
学校生活に影響が出ている時が適しています。
早めに専門家と連携を取ることで、子どもの問題を早期に解決することができ、
将来的な人間関係の不安を軽減することが可能です。
親としては、子どもが話しにくい問題も、専門家を介することでよりスムーズに解決できるケースが多いことを覚えておくとよいでしょう。

ただし、専門家ならすぐになんでも話して解決できるわけではありません。
時間もかかりますし、タイミングも必要な時があります。
専門家にかかって終わりではなく、そこからが一緒に解決を始めるスタートだと思っていただけたらと思います。
また、子ども自身が問題だと感じていないと相談を継続することは困難になってきます。
その時は、次の進路や就職など、目の前にある乗り越えないといけない問題があると、
相談に通いやすい場合があります。
そういった人生の節目も、相談できるいいタイミングだったりします。

何かあった時に、慌てて探すのではなく、ある程度、普段から親が近くの専門家を探しておくのが、
そのタイミングが来た時に相談を受けやすくなるかもしれませんね。

 

筆者:子どもの心と発達の相談ルーム「ここケット」代表:大畑豊(臨床心理士・公認心理師)

スクールカウンセラー・保育園・大学講師などもしています。

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