心理発達コラム
ソーシャルスキルトレーニングって何?どんな子どもにも必要?
ソーシャルスキルトレーニング(SST)って何?
Social Skills Trainingの略称でSSTといいます。
今、現在は、発達障害やそこまでの診断がつかないお子さんに対して行われている、社会性をはぐくむトレーニングとしてよく言われるようになりました。
しかし、元々は、精神障害がある方の社会復帰への手段として使われていた言葉であったり、Social Skills Training=社会性の技術の訓練という言葉から、とても広義な意味にとらえられていたりします。
現在は、LST(Life skills Training)とも言われています。
生きていくために必要なスキルを身に着けるという意味ですね。
たくさんのこれに関する本がでていますので、読めば読むほど、色んなことが書いてあるので混乱されるかもしれません。
その混乱の要因の一員に、世の中で、SSTとすごく言われだした以前から、それぞれで、創意工夫されながらやっていたものが、SSTという概念の中に入ったために、すごく多様性と個別性があるように思います。
また、どんな人を対象にやってきたのか?
どんなグループ構成の中で実施してきたのか?
どこで実施してきたのか?(病院、学校など)
によって、実施方法は様々です。
それぞれの考えや実施方法がありますので、まず、その方法をよく聞いてから受けられるのがいいと思います。
その時の一つの指標として、
実施していることの意味を伝えてもらっているか?
目標も本人の状態(検査結果やこれまでの聞き取りにアセスメント)に合わせたものになっているのか?
プログラム内容は、アセスメントにそったものなのか?
ということを、説明してもらっているのか?
それが納得できるものなのか?ということが大事になってきます。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)は何のためにするの?
目的は、実施する場所によって様々ですが、最終的な目標は、
「その人がよりよく生きていくための知識や技術や方略」を習得して
「大人になった時に、ある程度、一人で生きていきながら、他者にも上手く頼りながら生きていけるようになること」です。
そのために、
1.対人関係に関するトレーニング
2.自分の感情をコントロールするトレーニング
3.宿題や提出部、連絡事項など生活に必要な処理ができるようになるトレーニング
4.学校や会社などの集団活動において過ごしやすくするトレーニング
5.その他
ざっとあげるとこんな感じになると思います。
どれを優先するかというのは、その専門家の考えや、お子さんの状態、どのくらいの回数ができるのか?
様々な、状況がからんできます。
また、同じテーマを継続していく場合もあれば、一回ごとに、テーマを変わる場合もあります。
今、どんなことを取り組んでいるのかを連携しながら、家でも学んだことを継続的にできたらいいですね。
これを意識していくことが、ソーシャルスキルトレーニングが、現実にも使えるようになる意味をもってきます。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)の種類と方法
ソーシャルスキルトレーニングを実施する方法には大きく分けて、
構成的なソーシャルスキルトレーニングと、
非構成的なソーシャルスキルトレーニングがあります。
構成的とは、ある一定のするべきことが決まっていて、その内容を学んでいくことです。
非構成的とは、特にすべきことが決まっていなくて、その場で起きた問題について、ファシリテーター(指導者)が介入する方法です。
どちらが正しいかというよりも、どちらの方法が、今のお子さんにとって、よりベストかという問題になります。
また、二つが混在している場合があります。
例えば前半は、プログラムがあって、後半は自由遊びみたいなところもあります。
どちらを実施するにしても、スタッフの準備にかける時間とその場をどう介入するというセンスが必要になります。
また、集団でするか個別でするかという問題もあります。
集団といっても2~3人の場合もあれば、10人くらいでしているところもあるようです。
人数が多くなればなるほど、場所も広く、スタッフもたくさん必要になり、その分、スタッフの連携が大事になります。
集団になれば、参加者同士の交流や刺激があり、それが、成長になる場合もあれば、ストレスになる場合もあります。(それを、どう取り上げながら、お子さんの成長につなげるかは、ファシリテーターの腕の見せ所にもなります)
ソーシャルスキルトレーニング(SST)は個別か集団どちらがいい?
ソーシャルスキルトレーニング(SST)の個別か集団のどちらがいい?
保護者の方にとっては、学校集団などで過ごすためには、ある程度の人数でやって欲しいという希望を持たれる方も多いと思いますが、集団活動が苦手だったり、心理的な問題も抱えていたりすると、少人数でも普段だったりします。
そういった場合、失敗の体験を積み重ねてますますモチベーションが下がることもあるので、まずは個別で指導者とお子さんのマンツーマンから始めて、そこから徐々に集団に移行する、平行するという方法もあります。
個別、集団、構成的、非構成的のどの方法でも、お子さんにとって、楽しく学べているか、また、自分で感じて考えることも大事ですが、それが苦手なお子さんが多いので、ある程度の見本やガイドラインを提供できるか。
褒められる経験も少ないために、上手くいった時に、褒めて成功体験を積んでいくことも大切になっていきます。
頑張って努力してスキルを獲得するという感覚よりも、無理なく楽しく過ごしているうちに、スキルが獲得される。そんな場所がいいかなと思います。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)はどんな人にも必要?
ソーシャルスキルは、どの人にもあった方がいいですが、ソーシャルスキルトレーニングが学びやすい状況の人とそうでない人がいます。
心理的(気持ち)な部分で、自分が受け入れてもらえてないなど、まず、自分の気持ちを落ち着かせる必要がある、日常生活にさしさわりがある時には、まず、医療機関でのサポートや投薬治療、心理的なサポート(カウンセリングや遊戯療法)が必要になってきます。
そして、気持ちが落ち着いて、指導者の意見が受け入れるような状態になってから実施する方がいいです。それでも、スキルを・・・という場合は、遊戯療法やカウンセリングと併用するのがいいですが、同時に二つ受けると料金的な問題もあるので、一つのセッション内(50分ならその時間)に、どちらも半分ずつするという方法もあります。
(ここケットでは、必要に応じて50分の中でソーシャルと心理療法的なアプローチを分けながらやっています。こちら)
その場合は、どういうことをするのか、指導者側の意識が必要になってくると思います。
自分が受け入れられてないと感じている時に、こちらから、何かしかけても反発するだけなので、まず、お子さんを受け入れてから、色々しましょうということになります。
ここケットで受けるソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?
ここケットで受けるソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?
どんなお子さんでも個別での関わりが基本になり、お子さんの今の状態にあった対応させていただきます。
その為には、保護者の方からの聞き取りや、アセスメントが必要になってきます。
それに基づいて内容を決めさせていただきます。
まずは保護者の方との面接が初回になり、次からはお子さんとのセッションになります。
頻度は、料金の問題や、お子さんの時間の問題もあるので、月1回~月4回まで様々です。目安として毎週か2週間に1度の割合の方が効果的です。
一週間に1度以上になると、内容を消化しきれなくなり、通う負担も強くなるので、無理なく通い続けられる間隔がおすすめです。
1セッション50分で、その中で、ソーシャルスキルトレーニングや心理的なケアー、また、学習支援もということで、お子さんも望めばお手伝いさせていただきます。
これらは、ご家庭とお子さんとの話し合いの中で、連携しながらやっていきたいと思っています。
また、どんなことをしたのか?ということも共有させていただきますので、
ご家庭でもお子さんとお話をしてここケットでしてきたことをお話してみて下さいね。
困りごと別ケアープログラムはこちら
料金は、こちら
ソーシャルスキルトレーニング(SST)の実際の例は?
友達関係が苦手な場合
ソーシャルスキルトレーニング(SST)の実際の例は?友達関係が苦手な場合
友だち関係が苦手な場合は、アセスメントをして、お子さんの状態を把握します。
図のように、色んな可能性があります。
クラスでのルール理解や、遊びのルール理解。
友だちとどんな会話ができるか?そもそも名前を憶えているか?
また、友だちと関わりやすい遊びがどんなことがあるのか?などの状況を理解しながら、楽しく興味やルール理解ができるように、50分のセッションの中で少しずつ実施しています。
苦手なことでも楽しく、短時間でできることから始めますので、無理なく長く続けられることを目指します。
短時間で克服できることもあれば、時間がかかったり、年齢的な問題もあったりするので、その時々でプログラムの内容を変えながら、また、保護者の方から実際に困っていることをお伺いしながら、実施していきます。
筆者:子どもの心と発達の相談ルーム「ここケット」代表:大畑豊(臨床心理士・公認心理師)
スクールカウンセラー・保育園・大学講師などもしています。